“脱ハンコ”の先へ 電子請求書がもたらすリモート時代の請求業務
2020年は予想もしなかった外的要因により、人々の仕事や働き方に対する考え方が大きく変化した年でした。企業のバックオフィスも例外ではありません。リモートワークが急速に進み、脱ハンコが議論されるなか、これまで紙中心だった請求書などのやり取りを見直し、電子データ型の請求書の導入をすすめる企業が増えています。電子請求書サービスがもたらす“新しい働き方”をみていきましょう。
いつの時代も変わらない請求業務の悩み
企業の経理や総務担当者に請求業務にまつわる悩みを聞いてみたところ、こんな課題が見えてきました。
「紙の請求書を仕分けしながら、 データ化する手間と時間がかかる」
「請求書到着の遅れや社内の支払承認の遅さによる月次決算の遅れ」
「急なFAXや速達依頼など個別対応が大変。郵送会社の集荷廃止により、請求書を持ち込む手間が増えた」
「宛名や金額間違いなど、わずかなミスも許されないストレスフルな業務」
「お客様から早く請求書が欲しいという催促が……」
こういった定番の悩みに加えて、テレワーク環境になったことによって「請求書や押印手続き、印刷などは紙データの処理なので、テレワーク実施中に出社する必要が生じた」などの新しい問題も生じてきています。
絶え間ないテクノロジーの進化、ワークライフバランスを見据えた仕事に対する多様な価値観の出現など、めまぐるしく変化する労働環境のなかにおいても、企業間の商行為は世界共通、日々取引が行われています。BtoB(企業間電子商取引)プラットフォームを運営するインフォマートが提供する「BtoBプラットフォーム 請求書」は、印刷・封入・郵送など時間とコストをかけて行われているこれらの請求業務を格段に効率化することで、生産性向上・時短とコスト削減や、ペーパーレス化を実現しています。
電子請求書サービスのメリット
最近よく耳にするようになった電子請求書とは、これまでアナログで行われていた請求書の作成や発送業務、また郵送で送られてきた請求書の受取や保管を電子データでやりとりする方法です。請求書を電子化することで、紙代や印刷代・郵送代といったコストの削減や、請求書の作成・封入・開封など人手をかけていた工数が軽減されます。またデータで授受されるため、発行から到着までの時間がほぼゼロになることで、修正や再発行が容易になる、手入力のミスが軽減できる、遠隔地においてもPCですぐに確認できるといったメリットがあります。
電子請求書は現在、多くの会社からさまざまなサービスが提供されていますが、その種類を大別すると「メール配信型」「PDFダウンロード型」「電子データ型」があり、それぞれに特徴があります。
メール配信型は、PDF化した請求書をメールに添付して送信する方法で、従来の業務フローを大きく変えることなく、低コストで簡単に始められるのが特徴です。しかし一方で、相手方のセキュリティーが高い場合は添付ファイルを開けなかったり、迷惑メールと勘違いされて削除されたりすることで、未確認や未入金リスクが高まる可能性があります。また、単純にメール受信だけでは電子帳簿保存法の保存要件を満たさないため、 タイムスタンプの付与や紙での保存が必要になります。
PDFダウンロード型は、クラウド上に請求書(PDF)をアップロードし送信する方法です。セキュリティーが担保され、メール配信型同様に請求書の書式を変えず利用できるというメリットがありますが、クラウド上で保存できる期間に制限がある場合に受取側は別途管理が必要になるという弱点もあります。また、受取側は発行される各社ごとのIDやパスワードの管理が必要となり、この方式の取引先が増えてくると作業が煩雑になるというデメリットがあります。
電子データ型はその名の通り、請求金額や明細項目をクラウド上で直接作成し、データで授受する方法です。セキュリティーが担保される点はPDFダウンロード型と同様で、さらにデータはすべてクラウド上に保管されるため、受取側も別途保存対応する必要がなく、双方で完全ペーパーレス化が実現できます。しかし、これまで慣れ親しんだ「請求書」のイメージとは大きく変わるため、運用定着まで一定の時間がかかったり、また既存の業務フローや書式を変更する必要が出てくる可能性がある点がデメリットといえます。
「BtoBプラットフォーム 請求書」が採用しているのは電子データ型になります。その特徴は上記でも述べた通りですが、データで授受を行うことにより、電子帳簿保存法への対応、会計・販売システムなど基幹システムとのスムーズな連携、検索性・保存性・履歴の確保による内部統制の強化など、これからのデータ活用時代を見据えた“あるべき姿”を目指したサービスとなっています。
「BtoBプラットフォーム 請求書」(電子データ型)のイメージ
請求書業務のコスト削減と時間短縮・生産性向上を実現
実際に「BtoBプラットフォーム 請求書」を導入することによって、どの程度の業務改善やコスト削減ができるのでしょうか。インフォマートの試算を見てみましょう。
請求書の発行コストは約67%減、受取にかかる処理コストは約77%減と、発行側と受取側それぞれでコスト削減が見込まれます。時間短縮についても両者でそれぞれ90%削減を実現しており大幅な生産性向上が期待できます。
「BtoBプラットフォーム 請求書」の導入による波及効果は、これだけではありません。電子請求書を自動で作成・発行することで、金額の間違いや不達など人的ミスもなくなります。インターネット環境さえあれば、どこからでもデータの確認が可能になり、従来の紙や承認のハンコリレーがすべてWeb上で完結するため、経理のテレワーク環境を構築できます。
相手方から受け取る請求書もデータで受領できます。電子帳簿保存法に対応しているので電子保管ができ、検索効率の向上や原本の紛失リスクを回避できます。自社の会計システムや販売管理システムと連携し、データを取り込むことで一括処理が可能となり、既存の業務システムを大きく変えることなく導入できます。
導入シェアNo.1(※)全国50万社以上の企業が利用
「BtoBプラットフォーム
請求書」は、電子請求書の受取・発行のほか、支払通知書機能、督促機能、消込機能など豊富な機能を持っています。さまざまな業界、どんな規模の企業も利用することができ、全国56万社、
100万名のビジネスパーソンが利用しています(2021年4月末現在)。
(※)2019年度クラウド請求書サービス 富士キメラ総研調べ(月刊BT 151号)
実際にBtoBプラットフォーム請求書を導入した企業から寄せられた声をいくつか紹介します。
「仕入と経費、両方の請求書電子化により、月次確定が8日から1日に時間短縮できた」(総合小売)
「建設業のバックオフィス生産性が一気に向上。現場とのリアルタイムなデータ共有で無駄な時間が激減した」(建設)
「請求書の電子化と自動入金消込で発行業務の負担が大幅に減少。本来の業務に集中できる環境が整った」(ITサービス事業、店舗運営事業)
電子帳簿保存法に対応。紙請求書の保管が不要に
企業は基本的に法人税法や所得税法において、7 年間は帳簿や書類などの国税関係書類を保存する義務があります。 IT の進歩に伴い、電子による国税関係書類の保存も可能になったという背景を踏まえ、電子帳簿保存法が1998年に施行されました。電子帳簿保存法では、①「電磁的記録」、②「マイクロフィルム」、③「スキャン文書」、④「電子取引の取引データ」の四つの方法で保存が認められており、①と➂は、実施の3 カ月前までに所轄の税務署に申請する必要がありますが、「BtoB プラットフォーム 請求書」は ④「電子取引の取引データ」に該当し、適用要件を満たしているため、利用企業は、税務署への申請は必要ありません。
(※令和3年度の税制改正大綱により電子帳簿等保存制度の見直しが閣議決定されています)
そのほかにも、「BtoBプラットフォーム 請求書」は、2023年10月1日から開始されるインボイス方式の対応も可能にしています。インボイス(適格請求書)とは、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータのことをいいます。「BtoBプラットフォーム 請求書」は、区分請求書の条件を満たした適格請求書のレイアウトに対応しているので 、2019年10月1日の軽減税率制度開始後の区分請求書の経過措置期間が終了してもそのまま使い続けることができます 。
飛脚から郵便に、そろばんから電卓に、固定電話からスマートフォンへ、そしてハンコから電子データへ。企業のグロースに新しいテクノロジーの導入は不可欠です。世界の“仕事観”が変革するなかで、旧来のビジネススタイルも大きく変える必要に迫られています。企業と企業をITで結ぶ電子化プラットフォーム。いままでにないそんな発想が現実のものとなっています。