請求書作成ツールで業務を効率化! 導入するメリットや選ぶポイントを紹介

請求書作成ツールで業務を効率化! 導入するメリットや選ぶポイントを紹介

企業とのやり取りにおいて、料金・費用を請求することは、ビジネスを成り立たせる上で重要な作業です。そのため、日々の業務として発生することが多い「請求書作成業務」は慎重に行わなければなりません。

しかし、意外と請求書の作成業務は複雑で、慣れないうちはミスも起きやすいでしょう。特に毎月請求書を発行する枚数が多い企業であれば、大きな業務負担になってしまいます。

近年では、書類の電子化が一般的になっており、請求書作成業務を効率化するツールも増えてきています。自社に合ったツールを活用すれば、大幅な効率化を図れるでしょう。

そこで今回は、請求書作成業務を効率化できるツールについて、導入するメリットや選び方のポイントを紹介します。

石動総合会計法務事務所代表 石動龍様

【この記事の監修者】
石動龍

石動総合会計法務事務所代表

青森県八戸市在住。公認会計士、税理士、司法書士、行政書士。読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格。ドラゴンラーメン(八戸市)店長、ワイン専門店 vin+共同オーナー、十和田子ども食堂ボランティアとしても活動している。趣味はブラジリアン柔術(黒帯)と煮干しラーメンの研究。2021年中の不動産業開業が目標。
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請求書を作成するポイント

請求書を作成する業務は、日々の中でも比較的多いでしょう。しかし、取引先と行う金銭のやり取りになるので、十分に注意して請求書を作成しなければなりません。正確に請求書作成業務を行うためにも、請求書を作成するポイントを押さえておきましょう。

請求書に決まったフォーマットはない

請求書は必要な項目が記載されていれば、法令などで定められたフォーマットはありません。そのため、各企業や各担当者が作成したオリジナルのフォーマットを使っているケースがあります。

手書きの請求書も認められています。ただし、ボールペンなど文字が消えないペンで、受け取る相手がしっかり読める文字で書く必要があります。

作成する請求書の枚数が多いと作成や修正をするのに手間が掛かるので、表計算ソフトや専門ツールを利用することが一般的です。

請求書作成に必要な項目

一般的に、請求書を作成するときには以下の項目が必要です。

  • 請求書の作成者の氏名・名称
  • 取引の日時(年月日)
  • 取引の内容
  • 取引の金額
  • 請求書を受け取る事業者の氏名・名称

他にも、備考として支払期限や振込手数料などの情報を必要に応じて記載します。

請求書の書き方については、以下の記事をご参照ください。
請求書の書き方は?記載する項目や注意点を解説|バックオフィス進化論

なお、2023年10月からインボイス制度が施行されます。すると、適格請求書ではない請求書は段階的に仕入税額控除が受けられなくなりますので、注意が必要です。適格請求書は記載項目も増えるため、その点も事前に確認しておきましょう。

インボイス制度については、以下の記事をご参照ください。
インボイス制度とは? 2023年の導入に向けて、概要や必要な準備を解説|バックオフィス進化論

電子ファイルをメールで送付してもOK

表計算ソフトで作成した請求書はそのまま印刷して、郵送するのが一般的でした。しかし、近年ではペーパーレス化が進んだことによって、電子ファイルをメールで送信するケースが増えています。

メールで送ることで、送料だけでなく封入作業も削減できます。電子データで請求書が送られてきた場合は、取引があったことを証明するために法令や会社のルールに基づいて保管する必要があるので注意しましょう。

メールで請求書を送る場合、表計算ソフトファイルのまま送信してしまうと、数値などを簡単に変更でき、ファイルを開いたときに意図せず内容が変わってしまう恐れもあります。表計算ソフトで作成した請求書は、PDF形式に変換してから送信するとよいでしょう。

請求書を表計算ソフトなどで作成するメリット

請求書を発行する枚数が少なかったり、特定の相手に決まった金額の請求書を作ったりする場合であれば、請求書を表計算ソフトで作成しても問題ないでしょう。しかし、請求書の発行枚数が多くなってくると、表計算ソフトでは対応が難しくなってきます。

ここからは、表計算ソフトで請求書を作成するメリットを紹介します。

メリット① 好みのレイアウトに設定できる

表計算ソフトは、数字を入力して計算式を設定すれば、自動で計算してくれる点がメリットです。一度請求書のフォーマットを作成すれば、再度書き直すことなく、使い回しができます。担当者の好みに合わせてレイアウトでき、関数やマクロと組み合わせることも可能です。会社独自の取引形態や、使用頻度に合わせてカスタマイズもできます。

メリット② 使い慣れている人が多い

表計算ソフトは、ビジネスシーンで多く利用されるため、使い慣れている人が多いです。インストールされているパソコンも多く、すぐ請求書を作成できます。また、請求書ツールは導入費用が発生しますが、それが掛からない点もメリットと言えます。

表計算ソフトでの請求書作成も便利ですが、請求書の発行枚数が多くなってくると、表計算ソフトでは不便なことがあります。それらを改善してくれるのが、請求書作成ツールです。

請求書作成ツールとは

請求書作成ツールは、システムに必要な情報を入力するだけで簡単に請求書を作成することができます。最初に、取引先の情報や振込先などをツールに覚えさせることで、以降の作業は自動化されます。ツールによっては、書類をスキャンしてその画像データから、自動で請求書を作成してくれるものもあります。

請求書作成ツールの主な機能

請求書作成ツールには、請求書の他、見積書や納品書なども作成できるものが多くあります。各社サービスによっては、テンプレートがいくつか用意されており、好みのデザインを選ぶことも可能です。

また、一度作成した請求書を複製し、次の月や異なる取引内容を記載して、簡単に新しい書類を作ることもできます。中には、毎月決まった取引先との請求書を自動作成してくれる機能もあります。サービスによっては、請求書の郵送サービスやメール送信機能もあり便利です。

さらには、決算書類を作成する際、同じ会社が展開しているツール同士で連携して、仕訳を自動で反映してくれるといった機能もあります。

請求書作成ツールを導入するメリット

請求書作成ツールとは? 導入するメリット

請求書作成ツールについて、導入するメリットを紹介します。

導入するメリット① 業務効率化を図れる

請求書作成ツールを活用すれば、今まで手動で入力していた作業を自動化したり、システム内に請求書を保管したりできます。ツールによっては、販売管理システムなどと連携し、請求データを自動で請求書に反映し、登録した得意先へ送信することも可能です。

得意先が電子化に対応していない場合でも、ワンクリックで請求書を印刷するところまで行えるでしょう。

導入するメリット② 人的ミスを削減できる

表計算ソフトで作成する場合、計算式がおかしくなり金額が変わってしまうこともありますが、請求書作成ツールでは、計算式を入れることなく自動計算してくれるため、人的ミスを削減することができます。また、一度入力した情報は引き継がれるため、コピペミスも少なくなるでしょう。

導入するメリット③ テレワークにも対応できる

請求書作成ツールは、ネット環境が整っていれば利用できるため、テレワークをしている在宅勤務者にメリットをもたらします。脱ハンコの流れで、電子印鑑も普及してきており、自宅からでも経理業務や請求書送付が可能となります。

他にも、表計算ソフトで請求書を作成する場合にも言えますが、紙やインク、封筒、郵送料などのコストが不要になること、請求書の保管場所が不要になることもメリットと言えます。また、請求書がデータ化されることで書類紛失のリスクも減ります。

今までは電子取引で受領した取引情報は紙に印刷して保存することが認められていましたが、2021年度の改正電子帳簿保存法により紙での保存は廃止され、電子データは電子データのままで保存することが義務付けられています。なお、2022年1月施行の改正により、「電子取引における電子保存の義務化」に2年間の猶予が認められていますので、この期間に準備を進めるのも良いでしょう。

請求書のデータ化については、以下の記事でも紹介しています。
電子請求書サービスを解説!メリット・デメリットとは?|バックオフィス進化論

導入するメリット④ インボイス制度が始まってもすぐ対応できる

2023年10月に始まるインボイス制度では、課税事業者は適格請求書で取引先とやり取りすることになります。インボイス制度に対応した請求書作成ツールを使っていれば、制度が始まっても、スムーズに請求書を発行できるでしょう。

請求書作成ツールを選定するポイント

「請求書作成ツール」と一言で表しても、その種類は多種多様です。そこで、自社の環境に適したツールを選ぶためにも、選定ポイントを押さえておきましょう。

ここからは、請求書作成ツールを選ぶときのポイントを紹介します。

簡単に操作・入力できるかどうか

請求書を作成する際は、必要な項目の情報を入力していきます。業務に携わっている方が問題なくシステムを操作・入力できるか確認しておきましょう。操作が難しいシステムだと、せっかく導入してもあまり使われず社内に浸透しない場合もあります。

既存システムと連携できるか

既に販売管理システムなどのシステムを導入している場合は、連携できるかどうかも重要です。社内にある請求データと連動し、自動でデータが反映されれば業務効率は大幅にアップします。

法改正や制度改正に対応しているか

デジタル化の広まりに合わせて、電子帳簿保存法やe-文書法などの改正が幾度にもわたり行われています。2023年10月にインボイス制度が施行されますが、こういった法改正や新たな制度に素早く対応してくれる企業の請求書作成ツールを選ぶ方が良いでしょう。

郵送代行機能はあるかどうか

電子化に対応していない取引先が多い場合、郵送する工程が発生してしまいます。請求書作成ツールには、ワンクリックで郵送代行を依頼できるものもあります。郵送する件数が多い場合は、郵送代行機能があるツールを導入するとよいでしょう。

その他の便利機能があるか

請求書を作成できるツールには、見積書・納品書・発注書などをまとめて作成できるものもあります。請求書作成業務だけでなく、書類作成の全体を改善したい場合は帳票作成ツールがおすすめです。

他にも、経理部門で利用するなら決算書類などを作成できる機能を持つツールが適しています。

まとめ

請求書関連業務は、企業にとって頻繁に発生する重要な業務です。請求データは複雑で意外とミスが発生しやすいので、業務効率化を図る必要があるでしょう。請求書は表計算ソフトなどで簡単に作成できますが、経理に関わる一連の業務を効率化したい場合は、請求書作成ツールを活用するのがおすすめです。

請求書作成ツールを導入するときは、社内の状況を整理してどのような機能が必要なのか洗い出しておくとよいでしょう。自社に最適な請求書作成ツールを導入して、業務の効率化を図ってみてください。

<この記事のポイント>

  • 請求書作成には記載内容などに注意点がある
  • 表計算ソフトは使い慣れている人が多く、請求書作成にも適している
  • 請求書作成ツールの導入で、業務効率化や人的ミス削減につながる
  • 2023年10月に始まるインボイス制度に対応したツールを選ぼう

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