「ご請求書」は正しい日本語?請求書のマナーやルールについても解説

「ご請求書」は正しい日本語?請求書のマナーやルールについても解説

請求書を作成する際、「ご請求書」と書くか「請求書」と書くのか、迷ったことはありませんか? どちらが正しい表現なのでしょうか。

請求書には、記載すべき項目や送る時のマナー、注意点があります。今回は、請求書の基礎的な情報について紹介します。今まで請求書を作成したことがない方や、今一度おさらいしたい方は必見です。

石動総合会計法務事務所代表 石動龍様

【この記事の監修者】
石動龍

石動総合会計法務事務所代表

青森県八戸市在住。公認会計士、税理士、司法書士、行政書士。読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格。ドラゴンラーメン(八戸市)店長、ワイン専門店 vin+共同オーナー、十和田子ども食堂ボランティアとしても活動している。趣味はブラジリアン柔術(黒帯)と煮干しラーメンの研究。2021年中の不動産業開業が目標。
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「ご請求書」と「請求書」はどちらが正しい表現か

「ご請求書」という表現は、日本語の表現として間違っているわけではなく、ビジネスにおいても使う人が多い言葉ではあります。

その一方で違和感を覚える方もいるため、「請求書」と書くのが無難です。

また、請求書を送付する際、封筒に「請求書在中」と記載しますが、これは開封前にひと目で内容を把握してもらうために書くものなので、「ご請求書在中」ではなく「請求書在中」とします。文字数を少なくし口語や文書でも「請求書」と統一するのが望ましいでしょう。

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「ご請求書」の違和感の正体は

「ご請求書」の違和感の正体は

ただ、決して間違っているわけではないものの、「ご請求書」という表現に違和感を覚える人もいるでしょう。

違和感の正体は、品物やサービスを提供した代償に金額を提示し請求書を発行しているにもかかわらず、丁寧すぎる表現をしているためです。

「御(お、ご)」は自分の行為を丁寧に見せること以外にも、相手への敬意を表すために使われる場合もあるので、請求書に「ご」を付けても間違いではありません。

また、ビジネスの場合では「請求書」が使われるので、なるべく「請求書」と表現するよう心がけましょう。

「ご請求書」を使わない丁寧な表現と例文

印象のいい敬語表現ができれば、「ご請求書」を使わずに相手への敬意や丁寧さを示せます。

メールや書面で請求書を送付する場合に添える文章を、例文を挙げてみていきましょう。

メールで請求書を送付する場合

いつもお世話になっております、○○会社の○○です。ファイルにて請求書を添付いたしますので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。

メールで、請求書を送付する場合、挨拶を述べた後「添付いたします」「ご査収ください」と丁寧な表現を使うことで、印象のいい文章を作れます。

書面で請求書を送付する場合

拝啓

時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。さて早速ではございますが、請求書をお送りいたしますので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。

敬具

書面で請求書を送付する場合、送付状には季節の挨拶や結びの言葉をしっかりと述べ、「お送りいたします」「ご査収くださいますよう」などの表現で「ご請求書」を使わずに丁寧さを示しましょう。

その他に注意すべき請求書送付状の表現

文章全体を丁寧にすることで「請求書」の表現も丁寧に見せられますが、他に間違いやすい送付状の文章を知っておきましょう。

ご請求させていただきます

送付状に「○○の代金をご請求させていただきます」と記載する方がいますが、「させていただく」は相手の許可を受けて行い、そのことで恩恵を受ける事実や気持ちのある場合に使われるため、あまり適切とは言えません。

「ご請求いたします」または「ご請求申し上げます」を使いましょう。

ご査収願います

「ご査収願います」はお願いを丁寧に表した表現ですが、注意が必要です。

やわらかでへりくだった丁重な依頼の意味を含む「ご査収のほどお願いいたします」と表現するか、「ご査収ください」「ご査収くださいますよう、お願い申し上げます」を使いましょう。

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知っておきたい請求書のマナーやルール

知っておきたい請求書のマナーやルール

「ご請求書」を使わない表現や送付状の書き方だけでなく、請求書には他にも知っておきたいマナーやルールが存在します。

請求書に記載すべき内容や送り方について見ていきましょう。

請求書に記載すべき項目

請求書は代金の支払いを依頼するために発行する文書です。

取引があったことを証明する証憑(しょうひょう)書類ですが、公式に必要な項目が決められているわけではありません。

ただし、国税庁のホームページによると、次の5つの項目の記載が「請求書等への記載事項」として掲載されています。

  • 書類作成者の氏名または名称
  • 取引年月日
  • 取引内容(​​軽減税率の対象品目である旨)
  • 税込みの取引金額
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名、名称(※)

(※)小売業、飲食店業、タクシー等を営む事業者が交付する書類については、記載を省略することができます。

これに加え、以下の項目の記載があれば、請求書として満足のいくものとなります。

  • 書類作成者の住所、電話番号
  • 請求書の管理番号
  • 締め日と支払期日
  • 振込先銀行口座情報

さらに事前に送付方法と発行日についても取引先に確認しておくと、請求書作成がスムーズに行えるでしょう。

(参照)
No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた|国税庁

請求書の送り方について

請求書を郵送する場合、文字が書いてある面を内側にして三つ折りで封筒に入れるのが一般的な方法です。

開けた時に請求書の表題部分が最初に見えるようにし、封筒に入れる時も請求書の右側を上にして入れるのがマナーですので覚えておきましょう。

また、メールで請求書を送付する方法もあります。

法的にはメールでの送付は問題ないものの、請求書の原本のみを取引の証明としている企業もあるため、メールで請求書を送付することに問題がないか、あらかじめ確認しておきましょう。

請求書をFAXで送るのは問題ないか

また、請求書は取引の証明ができていればいいため、FAXで送るのも問題はありません。

ただし、取引先が早急に請求金額を知りたい場合やFAXでの送付を求められた場合など限られた場面とし、一般的ではないことは知っておきましょう。

また、FAXで送る場合、請求書だけでなく送付状を一緒に送ると紛失などのリスクが軽減できます。

送付状には以下の内容を記載しましょう。

  • 件名
  • 請求書を送付した日時
  • 取引先の会社名や担当者名
  • 差出人の会社名や名前、連絡先
  • 請求書の枚数と概要
  • その他の連絡事項

その他の連絡事項には確認後返信が欲しい旨や後日原本を送る旨などを記載します。

FAXは送受信エラーが起こる可能性もあるので、請求書と送付状を送った後に返信がなかった場合、電話を入れて確認するといいでしょう。

チェックすべきポイント

請求書に記載すべき項目や送り方の他、細かい点まで配慮することで取引先への印象も異なるので確認しておきましょう。

ポイント1.印鑑

請求書は取引の証明となる文書ですが、公式に必要な項目が決められているわけではないため、印鑑は押してあってもなくても構いません。

しかし印鑑を押すことで、会社が正しく発行している文書ということの証明になる上、偽造防止としても役立ちます。

法人であれば社名の入った正方形の角印を、個人事業主は普段使っている印鑑を押しておきましょう。

ポイント2.消費税

価格の表示については、消費税額を含めた内税、消費税額を含めない外税の記載があります。

どちらを選んでも構いませんが、内税と外税のどちらで計算したのかを明らかにし、消費税額が分かる書き方をするのが大切です。一般的には請求書の明細欄に小計、消費税額、合計金額をそれぞれ記載します。

金額により小数点以下の消費税が発生する場合がありますが、こちらも特に決まったルールはありません。切り捨てるか四捨五入するかは、あらかじめ請求する側の判断に任せられます。

取引先により変更してしまうと、一貫性のない会社という印象を与え、信頼を裏切ることになってしまう場合もありますので、あらかじめ決めておきましょう。

ポイント3.封筒サイズと書き方

知っておきたい請求書のマナーやルール

請求書を送付する際に使う封筒のサイズは、A4サイズを三つ折りで入れられる「長形3号(長3)」、またはA4サイズを折らずにそのまま入れられる「角形2号(角2)」が一般的です。

通常通り封筒の宛名を書いた後は、「請求書在中」と黒色や青色の文字で記載し四角で囲みます。

縦書きの場合は封筒表面の左下、横書きの場合は封筒表面の右下に記載しましょう。

請求書のマナーやルールを知って取引先と良好な関係を作ろう

今まで請求書を作成したことのある事業者の方でも、上記で紹介した請求書に関するマナーや細やかな注意点には、対応し切れていない部分もあったのではないでしょうか。

ぜひ、取引先との良好な関係を築くためにも、正しい請求書の書き方やルールを知っておきましょう。

    <この記事のポイント>
  • 「ご請求書」ではなく「請求書」と書くのが無難
  • 請求書には記載すべき5つの項目がある
  • 請求書の送付状にはふさわしい言い回しの文章がある
  • 封筒サイズや入れ方、印鑑に関するマナーやルールもある

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