受注管理業務の具体的な流れや注意点を解説!システムを導入するメリット、お礼メール例も
「受注」とは、具体的にどのような業務を指すのか。今回は、受注管理にお悩みの方に、受注の意味から、受注管理の流れや注意点、知っておくべき用語、受注後のお礼メールについてまで、まとめて解説します。
煩雑になりがちな受注管理を効率化するためには、システム導入も検討しましょう。受注管理システムのメリットや選び方にも触れていきますので、ぜひ参考にしてください。
受注とは
受注の意味や、受注管理とはどのような仕事かを具体的に解説します。また、「受注」と「売上」の違いについても解説します。
受注の意味
受注とは、法人や個人から自社の製品の製造やサービスの注文を受けることを意味します。
受注は、あくまでも利益が発生するまでの経過の一つの時点であり、このとき「売上」はまだ確定していません。つまり、受注は利益が発生する可能性がある時点を示します。
受注後にキャンセルが生じる可能性もあるので、「受注=売上」ではないということです。
ちなみに、「受注」と「売上」が違うように「利益」も異なる意味を持ちます。
- 受注:商品やサービスの注文を受けること
- 売上:商品やサービスを売って得た代金の総額
- 利益:売上から経費などを差し引いて残った金額
例えば、販売価格1万円の商品が100個売れた場合の売上は100万円です。一方で、経費が40万円掛かっていたなら、利益は60万円になります。
このとき、受注額は必ずしも売上と同じ数字とは限りません。例えば、受注の段階では110個(=110万円)の注文があり、10個キャンセルとなり最終的に100万円の売上になった可能性もあるのです。
受注管理業務とは
受注管理業務とは、注文を受けてから商品を個人や法人の取引先に出荷するまでの一連の流れを管理する業務のことです。
例えば、下記のような業務が主に含まれます。
- 在庫状況の確認
- 商品発送の出荷指示
- 配送完了通知
- 売上決済
これ以外にも、幅広い業務が含まれます。
また、企業が取り扱う製品の生産方式には「見込み生産」と「受注生産」の2種類があり、どちらの方式かによって受注管理業務の流れは変わります。
- 見込み生産:注文を受ける前に生産する
- 受注生産:注文を受けてから生産する
受注管理業務の具体的な流れ
次に、受注管理業務の流れを具体的に解説します。
1)注文内容を確認し見積書を作成する
注文を受けたら注文内容を確認し、必要に応じて見積書を作成します。見積書には、取引内容・数量・金額などの必要事項を正確に記述することが重要です。見積もりは、金額交渉などによって複数回行う場合もあります。
2)在庫を確認して納期を回答する
在庫を確認して納期を回答する段階では、「見込み生産」か「受注生産」かによって回答内容に違いがあります。
- 見込み生産:現時点で出荷できる在庫数
- 受注生産:資材の在庫の有無とリードタイムを踏まえた納品可能数及び納品日や出荷日
リードタイムとは、生産から納品までに掛かる時間のことを指します。受注管理の担当者は、商品や資材の在庫数はもちろんのこと、受注生産であれば特にリードタイムを正確に把握しておく必要があります。
3)受注伝票や注文請書の作成
在庫や納期の確認ができ、出荷のための条件がそろった段階で、社内用に注文の記録を残すために受注伝票を作成します。
さらに、受注伝票をもとに注文請書を発行して、発注者へと送付します。注文請書に法的な作成義務はありませんが、納品ミスを防ぐために発行される場合があります。
4)出荷して納品する
商品を出荷して取引先に納品します。このとき、出荷指示書や納品書の作成が必要とされることもあります。
受注管理に関連する用語
受注管理において、知っておくべき用語を紹介します。
MOQ
MOQは、発注できる最低数量のことです。Minimum Order Quantityの略。例えば、見積書に「MOQ:100」と記載があれば、100個以上から発注できます。99個以下では発注できません。
SPQ
SPQは、発注できる最小単位のことです。Standard Packing Quantityの略。例えば、見積書に「SPQ:100」と記載があれば、発注は100個、200個となり、100の倍数単位での発注しかできません。
SNP
SNPは、出荷時の梱包量のことです。Standard Number of Packageの略。例えば、見積書に「SNP:100」記載があれば、梱包材1つあたり100個の商品が入っていることを表します。
MOQ・SPQ・SNPを間違うと、大きなトラブルが起きます。記載する際は、慎重に確認しましょう。
受注管理業務の注意点
受注管理の業務を遂行するときの注意点を解説します。
書類の取り扱いに注意
受注管理業務を遂行する際は、受領・作成した各種書類の取り扱いに注意しましょう。税法で、法人や個人事業主の帳簿書類の保存期間が定められているためです。
法人の「帳簿書類」とは、文字通り「帳簿」と「書類」を合わせたものを指します。
・帳簿の例
総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳など
・書類の例
棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書など
法人における帳簿書類の保存期間は、「その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間」です。ただし、平成30年4月1日以降に欠損金が発生した事業年度については、帳簿書類の保存期間が10年に延長されています。
仮に赤字と黒字を繰り返すような状態の場合、帳簿書類の保存期間が複雑化します。そのため、トラブルを回避するためにも、法人の場合はどの帳簿書類も10年間保存しておくのが安全でしょう。
なお、個人事業主の場合は、請求書・見積書・契約書・納品書といった書類の保存期間は5年と定められています。これは、青色申告・白色申告を問わず同様です。一方で、帳簿や一部書類は7年間の保存が義務付けられているため、個人事業主の場合はどの帳簿書類も7年間保存しておくのが安全と言えます。
青色申告と白色申告における帳簿書類の保存期間の違いについては、下記をご確認ください。
<帳簿書類の保存期間|青色申告の場合>
引用元: 記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁
<帳簿書類の保存期間|白色申告の場合>
引用元: 記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁
管理が煩雑になりやすい
受注管理業務のもう一つの注意点は、細かいタスクが多いため、管理やフローが煩雑になりやすいことです。
煩雑な業務を効率化する手段として、フローチャートを作成して業務を可視化する他、受注管理システムを導入するといった方法が効果的です。
受注管理システムの種類はさまざまですが、例えば、受注管理をクラウド上で行えるシステムなどがあります。
受注管理システムを導入するメリット
ここからは、受注管理システムを導入するメリットとデメリットをそれぞれ解説します。まずはメリットから見ていきましょう。
工数や費用を削減できる
受注管理システムを導入することによって、取引先ごとの状況把握などの手間が省け、業務の工数を削減できます。また、ペーパーレス化によって、紙や印刷代など消耗品費の削減にもつながります。
人為的な漏れや発注ミスを軽減できる
受注の内容確認メールやお礼メールを、受注管理システムによって自動化することで、人為的に引き起こされる漏れやミスを軽減できます。
その他のシステムと連携できる
利用している会計システムや販売管理システムとの連携機能が付いているシステムを選べば、経理・会計処理もスムーズになり、さらに業務の手間が省けます。
受注管理システムを導入するデメリット
受注管理システムの導入にはメリットも多い一方で、デメリットもあります。主な2つのデメリットについて解説します。
受注管理システムの導入費用が掛かる
受注管理システムの導入には、相応のコストが掛かります。システム自体の利用料の他、紙ベースで管理していた書類をデジタル化するための費用も発生するでしょう。
受注管理システムを導入する際は、事前にどのような費用が掛かるかを確認しておく必要があります。
デジタル化するための作業負担が発生する
受注管理業務をデジタル化するには、費用だけでなく多くの手間と労働力が必要です。場合によっては、システム移行のための人員増加や取引先との調整が必要になることも考えられます。
受注管理システムを選ぶ際に注目したい4つのポイント
受注管理システムの導入は、メリットとデメリットをよく理解して、自社に最適なシステムを選択することが重要です。そこで、システム導入を検討する際に注目すべき4つのポイントを解説します。
業界や規模に合うシステムを選ぶ
受注管理業務のフローは業界によって異なるため、自社が取り扱う商品やサービスに適合するシステムか、事前に見極めることが重要です。目安として、自社と同じ業界における導入事例の豊富さなどに注目するとよいでしょう。
適切な料金制度を選ぶ
受注管理システムに掛かるシステム利用料金は、従量課金制と月額定額制の2種類があります。それぞれの特徴は下記の通りです。
【従量課金制】
- 月額利用料が受注件数によって変動する
- 受注件数に応じて利用料を必要最低限に抑えやすい
- 費用を事前に把握しづらい
【月額定額制】
- 月額利用料が受注件数によらず固定
- 受注件数が増えても費用が増えない
- 費用を事前に把握しやすい
操作しやすいシステムを選ぶ
システムは、料金や機能性だけでなく、操作性に優れていることも大きなポイントです。社員が操作しにくいシステムはミスを引き起こす原因となる危険性もあります。
操作しやすいシステムを選ぶためには、無料お試し期間があるシステムを活用するのも一つの方法です。
連携機能が備わっているシステムを選ぶ
既存の会計システムや、その他の社内システムと連携できる機能を備えた受注管理システムを選ぶことも重要です。連携することで、業務の手間や負担が省けて効率化が図れます。
受注したらお礼メールを送ろう
新規案件を受注したら、速やかにお礼メールを送りましょう。最後に、受注後に送るお礼メールについて紹介します。
受注したらすぐにお礼メールを!
発注を受けたら、入金を待たずにすぐにお礼メールを送ると良いです。当日がベストですが、遅くとも翌日中に送ると先方へ好印象を与えられます。
ただし、メールを送る際は、失礼のないように、ビジネスマナーに注意して文面を作りましょう。あらかじめ定型文を用意しておくとスムーズに送ることができます。
お礼メールの例文
件名:〇〇業務受注のお礼
株式会社〇〇〇
〇〇部 〇〇〇〇様
平素は大変お世話になっております。
株式会社△△の△△△△でございます。
この度は、貴社の〇〇業務につきまして、
弊社とご契約をいただきましたこと、誠にありがとうございます。
弊社の〇〇における技術(サービス)は、他社様からも高い評価をいただいております。
貴社のご期待に添えるよう全力で取り組む所存でございます。
今後貴社とのご連絡は、私、△△が担当いたしますのでよろしくお願い申し上げます。
ご要望、ご不明な点などがございましたらいつでもご連絡ください。
略儀ながら、メールにてお礼申し上げます。
感謝の気持ちを伝えるのはもちろんですが、自社のアピールを入れるのもポイントです。受注したらすぐ送ることで、取引先との信頼関係の構築につなげましょう。
自社のサービスに適切な受注システムの導入が重要
受注の基本的な仕事内容や、それに伴う課題の解決方法をご紹介しました。受注管理システムを導入して業務の効率化を図ることを検討している場合は、自社の商品やサービスに合ったシステムを選ぶことは重要な要素の一つです。ぜひ、参考にしてください。
<この記事のポイント>
- 受注管理業務は、煩雑化しやすくミスが生じるリスクがあるが、受注システムの導入で解決が期待される
- 受注システム導入後は業務効率化が期待できるが、導入の際の作業負担や費用負担が発生するので注意が必要
- 受注システムは、自社のサービスに適したシステムを検討する必要性がある