収入印紙とは? 貼り付けが必要な文書や金額、どこで買えるかを解説!
ちょっと高めの買い物をしたとき、領収書やレシートに収入印紙が貼られているのを見たことがありませんか? 一定の金額を超えた紙の領収書や契約書には、収入印紙を貼らなければなりません。では、何のために収入印紙を貼っているのでしょうか。
今回は、収入印紙とは何かや、収入印紙が必要な文書や金額について詳しく解説します。郵便局やコンビニなどの購入場所についても、ぜひ覚えておいてくださいね。
収入印紙とは?
収入印紙とは何かや、その目的などについて説明します。
税金・手数料の納付に使われる証票のこと
収入印紙とは、税金や手数料の徴収を目的として政府が発行している証票のことです。印紙税法で定められた課税文書を発行するときは税金を納める必要があり、文書を作成した側は収入印紙を貼ることでその支払いとします。
収入印紙を貼らなければならない課税文書は、領収書・契約書・保険証券など20種類に及びます。そして手数料は、国家試験の受験手数料・訴訟費用などがその代表的な例です。
領収書に収入印紙を貼る理由は?
課税文書を発行する際は、金額に応じて印紙税を納めなければなりません。ですが、領収書や契約書を発行する度に税金を支払うのは手間が掛かります。そのため、必要な印紙税分の収入印紙を貼ることで納税とするのです。
収入印紙は全部で19券種
(引用: 収入印紙の形式改正について|国税庁 )
収入印紙は、200円から100,000円まで19券種が発行されています。過去に発行されていた1円から120円までの券種も、使用することは可能です。収入印紙には特殊発光インキやイメージリプル(特殊レンズを重ねると文字が現れる技術)などの偽造防止技術が施されています。
収入印紙が必要なのはどんなとき?
先に、収入印紙が必要な課税文書は、領収書や契約書など20種類に及ぶと説明しましたが、具体的には以下のような文書が挙げられます。
- 領収書などの金銭又は有価証券受取書
- 請負に関する契約書
- 継続的取引の基本となる契約書
- 不動産売買契約書や土地賃貸契約書
- 保険証券
- 預金証書、貯金証書
- 株券
- 約束手形・為替手形
- 定款 など
これらの文書は、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に該当するもので、印紙税が課税されます。各文書の内容と金額によって、収入印紙の金額は変わってきます。
例えば、課税文書の中でも作成頻度の高い、「領収書などの金銭又は有価証券受取書」であれば、5万円以上の場合に、受取金額に応じた収入印紙が必要となります。詳しくは、後述します。
収入印紙が不要なのはどんなとき?
クレジットカードやキャッシュレス決済を利用した領収書は、収入印紙が不要です。ただし、領収書に「クレジットカード利用」などと記載する必要があります。
また、印紙税は紙の文書に掛かるものなので、パソコンやスマホで契約書をやりとりするような電子契約には課税されません。代金の相殺が行われた取引についても、非課税のため収入印紙は不要です。ただし、全ての金額を相殺できなかった場合、残った部分は課税されます。
領収書に収入印紙を貼らないとどうなる?
収入印紙を貼らなかった場合、故意・過失を問わず、本来払うべきだった印紙税の3倍の金額を納税しなければなりません。これは「過怠税」と呼ばれる税金です。税務調査の前に貼り忘れを申し出るなどの要件を満たした場合は、過怠税は1.1倍に軽減されます。
契約金額が大きく貼り忘れが多いと、過怠税の負担が重くのし掛かります。会社や事業者の評判にも関わってくるので、ルールにのっとりきちんと収入印紙を貼るようにしましょう。
収入印紙はいくらから貼り付ける?
領収書や契約書の種類ごとに、金額に応じて必要な収入印紙税額を確認しましょう。
5万円以上の金額となる領収書
領収書にはレシートも含まれますが、全ての領収書やレシートなどの受取書に収入印紙が必要なわけではありません。5万円以上の場合に、受取金額に応じた収入印紙を貼ります。
なお、売上代金かそうでないかで、必要となる収入印紙の額が異なります。また、原則として消費税は受取金額に含まれません。
売上代金の受取書の場合
記載された受取金額 | 収入印紙の金額 |
---|---|
5万円未満のもの | 非課税 |
5万円以上~100万円以下 | 200円 |
100万円超~200万円以下 | 400円 |
200万円超~300万円以下 | 600円 |
300万円超〜500万円以下 | 1,000円 |
500万超〜1千万円以下 | 2,000円 |
1千万円超〜2千万円以下 | 4,000円 |
2千万円超〜3千万円以下 | 6,000円 |
途中省略 | |
10億円を超えるもの | 20万円 |
受取金額の記載のないもの | 200円 |
(参照: 契約書や領収証と印紙税|国税庁 )
売上代金の受取書には、商品販売代金の受取書、不動産の賃貸料の受取書、請負代金の受取書、広告料の受取書などが挙げられます。5万円以上100万円以下は200円が掛かり、最高は「10億円を超えるもの」の20万円です。
売上代金以外の受取書の場合
記載された受取金額 | 収入印紙の金額 |
---|---|
5万円未満のもの | 非課税 |
5万円以上のもの | 200円 |
(参照: 契約書や領収証と印紙税|国税庁 )
売上代金以外の受取書には、借入金の受取書、保険金の受取書、損害賠償金の受取書、補償金の受取書、返還金の受取書などが挙げられます。
1万円以上の金額となる請負契約書
請負契約とは、発注者に対して受注者が業務の完成を約束し、その結果に対して報酬が支払われる契約のことをいいます。物品の製造・建設工事といった有形のものはもちろん、清掃・コンサルティングなど無形の業務も対象です。例えば、工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書、請負金額変更契約書などが挙げられます。
これらの1万円以上(※)の請負契約書には印紙税が掛かり、印紙税額は契約金額に応じて決まります。
記載された受取金額 | 収入印紙の金額 |
---|---|
1万円未満の場合 | 非課税 |
1万円以上~100万円以下 | 200円 |
100万円超~200万円以下 | 400円 |
200万円超~300万円以下 | 1,000円 |
途中省略 | |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
(参照: 契約書や領収証と印紙税|国税庁 )
1万円以上100万円以下は200円が掛かり、最高は「50億円を超えるもの」の60万円です。建設工事の請負に関する契約書では、作成年月日及び記載された契約金額に応じて税額が軽減されます。
1万円以上の不動産の譲渡や賃借権の設定に関する契約書
1万円以上(※)の不動産の譲渡や土地の賃借権の設定などに関する契約書には、収入印紙が必要です。例えば、不動産売買契約書、土地賃貸借契約書、不動産売渡証書などがその対象です。これらの契約に掛かる印紙税額も、請負契約の場合と同様に契約金額に応じて決まります。
記載された受取金額 | 収入印紙の金額 |
---|---|
1万円未満の場合 | 非課税 |
1万円以上~10万円以下 | 200円 |
10万円超~50万円以下 | 400円 |
50万円超~100万円以下 | 1,000円 |
途中省略 | |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
(参照: 契約書や領収証と印紙税|国税庁 )
1万円以上10万円以下は200円が掛かり、最高は「50億円を超えるもの」の60万円です。不動産の譲渡に関する契約書では、作成年月日及び記載された契約金額に応じて税額が軽減されます。詳しくは、国税庁のページを参照してください。
特定の相手と継続的に交わされる契約書
売買取引基本契約書・業務委託契約書など、特定の相手と継続的に交わされる契約書については一律4,000円の印紙税が掛かります。相手が定まっていない場合や、単発の契約は含まれません。継続的な契約でも、契約期間が3カ月以内かつ更新の定めのないものは対象外です。
10万円以上の約束手形・為替手形
約束手形・為替手形とは、決められた日に所定の金額を支払うことを約束する有価証券のことを指します。約束手形が支払う側・受け取る側の二者なのに対し、為替手形には本来の支払人に依頼されて支払いを行う第三者が加わるというものです。10万円以上の約束手形・為替手形には印紙税が掛かり、税額は手形に記載された金額に応じて決まります。
記載された受取金額 | 収入印紙の金額 |
---|---|
10万円未満の場合 | 非課税 |
10万円以上~100万円以下 | 200円 |
100万円超~200万円以下 | 400円 |
200万円超~300万円以下 | 600円 |
途中省略 | |
10億円を超えるもの | 20万円 |
受取金額の記載のないもの | 200円 |
(参照: 契約書や領収証と印紙税|国税庁 )
10万円以上100万円以下は200円が掛かり、最高は「10億円を超えるもの」の20万円です。
なお、手形金額の記載のない手形は非課税ですが、金額を補充したときは、その補充をした人がその手形を作成したものとみなされ、納税義務者となります。また、手形の複本や謄本は非課税です。
その他、収入印紙税額については以下、国税庁のサイトを参考にしてください。
No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁
(※)第2号文書と第3号から第17号文書とに該当する文書で第2号文書に所属が決定されるものは、記載された契約金額が1万円未満であっても非課税文書となりません。
収入印紙はどこで買えるのか?
基本的には「収入印紙は郵便局」と覚えておきましょう。その他にコンビニなどでも販売されています。
郵便局
一定規模の郵便局では全ての券種の収入印紙を販売しています。営業時間外窓口のゆうゆう窓口では、夜間・土日の購入も可能です(新型コロナウイルスの関係により一部臨時の営業時間となっていることがあります)。また郵便局に限り、汚れたり破れたりしていない収入印紙なら、1枚当たり5円(10円未満の収入印紙についてはその半額)の手数料で他の額面に交換することもできます。
法務局
法務局の販売所でも全ての券種の収入印紙を販売しています。ただし、場所によっては販売されていないこともあるため、事前に確認しておきましょう。
コンビニ
コンビニでも収入印紙を販売していますが、取り扱いのない店舗もあります。取り扱い状況などの詳細は各店舗に確認してください。
金券ショップ
店舗によっては収入印紙を販売しており、基本的には額面より安く購入することができます。支払いの際に消費税が加算されるため、その分は仕入税額控除を受けることが可能です。券種や販売価格は店舗の在庫により変動するので、事前に確認しておくとよいでしょう。
たばこ店や書店など
収入印紙売りさばき所である一部のたばこ店や酒店、書店などでも、収入印紙を販売しています。店頭に「印紙」の看板が掲げられていることもあるので、確認してみましょう。
収入印紙は払い戻しできる?
間違って収入印紙を購入した場合でも、現金に交換することはできません。印紙税が必要ない文書に収入印紙を貼ってしまったり、金額を間違えて払い過ぎたりした場合は、税務署で過誤納金の還付手続きを行うことで返金されます。
収入印紙の貼り方
収入印紙は、文書のどの部分に貼っても構いませんが、貼り付け欄があればそちらに貼りましょう。貼り付けたら、収入印紙と文書にまたがるように消印を押します。
消印は、その収入印紙が使用済みであることを示すものです。印鑑は、インキ浸透印・日付印・領収印・社印などどんな印鑑でも使用可能です。ボールペンなどの消しにくい筆記具で署名を行うことも認められています。
意外と身近な収入印紙。領収書や契約書の発行時は忘れずに
意外と忘れがちですが、一定金額以上の領収書や契約書には収入印紙を貼る必要があります。特に、多くの人にとって身近な領収書は「5万円以上で紙の領収書を出す場合は必須」と覚えておきましょう。印紙税を節約したい場合は領収書などを電子化したり、クレジットカードを利用した取引にすることをおすすめします。
<この記事のポイント>
- 収入印紙とは、税金・手数料の納付に使われる証票のこと
- 5万円以上の紙の領収書には、収入印紙が必須
- 収入印紙は郵便局・法務局・コンビニなどで購入できる