契約書を袋とじ(製本)する方法は? 契印の押し方や割印との違いも解説
契約書が複数枚になったら、袋とじ(製本)するのがおすすめです。ばらばらの契約書より見やすく、改ざんのリスクを防ぐこともできます。
そこで今回は、紙と製本テープを使った袋とじのやり方を詳しく説明します。契印を押す位置や割印との違い、印刷の方法についても、ぜひこの機会に覚えておきましょう。
契約書を袋とじ(製本)にする意味とは?
契約書の袋とじは、法律などで義務付けられているわけではありません。そもそも契約書の作成自体義務化されておらず、口頭やチャットでのやり取りでも契約は成立します。契約書が複数枚になったからといって、必ずしも袋とじにしなくていいのです。
しかし、契約金が高額な場合や重要な取引の場合は、契約書を交わすことが多くなります。そうすると、契約書は複数枚になり、1枚1枚に契印を押さなければならず、作業が大変になります。
袋とじをすれば、契約書が一まとまりになり、契印を押す箇所を減らすことができます。さらには、改ざんや偽造のリスクを軽減させることができ、取引先への印象も良くなります。
契約書を袋とじする方法・テンプレート
紙を使う場合と製本テープを使う場合について、それぞれの方法を説明します。
紙でホッチキス留めの契約書を袋とじする場合
1)契約書の縦の長さ(A4であれば297mm)より大きい紙を用意する。横幅はホッチキス(ステープラ)留めした部分が隠れる長さ×3程度にする
2)用意した紙を3つ折りにし、B以外は契約書の縦に揃えて切る
3)Aに糊を付け、契約書の左端に合わせて貼る
4)BをAの方に折り返す
5)契約書からはみ出した部分に糊を付けて、画像の①と②の方向に折り返し貼る
6)最後に、契印を押して完了
製本テープで契約書を袋とじする場合
[厚みのない契約書の場合]
1)契約書の縦の長さより大きい製本テープを用意する
2)テープの剥離紙を剥がし、表裏の横幅が均等になるように契約書に貼る
(このとき、テープの剥離紙は横幅2/3程度剥がすのがコツ)
3)余らせた部分を契約書の縦の長さに揃えて切る
4)契約書を裏返し、残りの剥離紙を剥がして貼り、最後に契約書からはみ出た部分を貼る
5)最後に、契印を押して完了
[厚みのある契約書の場合]
1)契約書の縦の長さより大きい製本テープを用意する
2)テープの剥離紙を剥がし、表裏の横幅が均等になるように契約書に貼る
(このとき、テープの剥離紙は横幅2/3程度剥がすのがコツ)
3)契約書からはみ出した部分の縦と横2カ所に切り込みを入れる
4)裏側となる部分の剥離紙を剥がして貼る
5)契約書を裏返し、残りの剥離紙を剥がして貼る
6)最後に、契印を押して完了
袋とじした契約書に表紙・裏表紙は必要?
袋とじした契約書に表紙・裏表紙を付けるかどうかに、特に決まりはありません。契約書の内容が見えてしまうのが気になる場合などに、適宜用意するとよいでしょう。 ただし、裏表紙への書き足しにより契約内容を変えられてしまう恐れがあるため、契約書の文章の末尾に印鑑を押すようにしてください。この印鑑は「止め印」と呼ばれています。
契印とは?
袋とじした契約書には、契印を押すのが一般的です。契印の役割や押す場所について確認しておきましょう。
複数の契約書の連続性を示す押印のこと
契印とは、複数の契約書が連続したものであると示すために押印することを指します。契印の役割は、文書の差し替えや抜き取りを防ぐことです。私人同士の契約の場合は契印の義務はなく、押されていなくても法的効力は変わりません。しかし契印がないと、一部の紙を差し替えられてもその事実が外形的に残らないため、改ざんがあった事実を主張することが難しくなります。なので、契印はあったほうが良いでしょう。
契印と割印の違い
契印は「ページの連続性」、割印は「文書の関連性・整合性」の証明をそれぞれ目的とする押印です。割印は「原本とコピー」「領収書と控え」のように、対になる書類に押されます。
契印を押す場所
契印を押す場所に決まりはないのですが、ビジネスマナーとして一般的なルールは存在しています。袋とじされた契約書の場合は、表か裏のどちらか一方に、袋とじ部分に重なるように押せばOKです。
袋とじされておらずホッチキス留めのみの場合は、全ての見開きでページにまたがるように契印を押します。契印には署名欄に使用した印鑑と同じものを使い、署名した全員分の契印を押してください。
きれいに契約書を印刷する方法
契約書を袋とじするための印刷方法を紹介します。
袋とじ印刷するには、1枚の用紙に2ページ分を印刷し、印刷された面が表になるように2つ折りにする方法をとります。基本的には、A3用紙に2ページ分印刷するのが一般的です。
文書作成ソフトを使った袋とじ印刷の手順
契約書を袋とじにするときは、適切に余白を設定しないと文章が読みづらくなるので、余白はしっかり取りましょう。
① 印刷の設定画面を開く
② レイアウトの「ページ設定」で用紙サイズ(A3が一般的)を指定する
③ 「余白」のタブを押して、印刷の向きを「横」に設定
④ 「印刷の形式」から「袋とじ」を選択する
⑤ 印刷設定が完了したら、「印刷」をクリックする
契約書を電子化すれば、袋とじが不要に
契約書は書面である義務はなく、電子化されたものも法的に有効です。電子化された契約書は袋とじの必要もありませんし、印鑑を押す手間も省けます。資材費や郵送費のコストも削減可能です。
また電子契約システムを活用することで、契約書の発行から保管までをクラウド上で完結できます。電子契約システムではテンプレートが多数用意されており、一から自分で契約書を作成しなくてもOKです。必要な箇所を埋めていくだけで、契約書の作成がスピーディーに完了します。
契約書が複数枚のときは、袋とじするとスッキリ!
法的な義務はありませんが、袋とじされた契約書は見やすく、相手に好印象を与えるでしょう。特に高額な取引の場合は、できるだけ袋とじを行うのがおすすめです。契約書を電子化してしまえば、袋とじや押印の手間から解放されるでしょう。
<この記事のポイント>
- 契約書を袋とじする義務はないが、高額・重要な取引で行われることが多い
- 袋とじするときは、契約書の縦の長さより大きい紙や製本テープを用意する
- 袋とじした契約書の表紙または裏表紙に契印を押すのが一般的