【領収書の書き方】実は間違っている? 領収書の正しい書き方と基本知識
領収書のただし書きによくある「お品代」や宛名の「上様」は、税務申告の証憑書類として、法的に有効とされるのでしょうか?今回は、そんな疑問をお持ちの方のために、領収書の基礎知識から正しい書き方までを紹介します。領収書についてよくある質問も交えて、詳しく解説します。
領収書とは?
領収書とは、金銭が正確に受け渡しされた事実を証明するための証拠書類のことです。国税庁では、下記のように記述されています。
“金銭又は有価証券の受取書や領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に該当し、印紙税が課税されます。”
(引用:
No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書 | 国税庁
)
領収書の3つの役割
領収書には、下記の3つの役割があります。
- 1. 代金の受け渡しが完了したことを証明して、二重請求や過払いを防止する
- 2. 社員の不正利用を防止する
- 3. 経費申告をするための帳簿書類として税務調査の際に経費であることを証明する
これらの根拠は、2つ。まず1つ目は、民法に基づくものです。税法上、領収書の発行が義務付けられているわけではありませんが、代金の受取人から領収書の発行を求められた場合については、発行の義務が生じます。
“(受取証書の交付請求等)
第四百八十六条 弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。”
(引用:
民法第四百八十六条(受取証書の交付請求等)|e-Gov 法令検索
)
そして2つ目は、商慣習によるものです。仮に、企業が社員に領収書の提出義務を課していないと、接待費や出張費などの経費精算で内部不正が生じることがあります。
そうならないためには、領収書を発行することで、不正を未然に防ぐことができます。
レシートと領収書の違いとは?
税法上では、レシートも領収書と同様の効力を果たすとされており、「領収日付」「売上代金に係る金額」「発行元」の表記があれば、レシートも領収書に該当します。
国税庁のホームページには、「領収証」「レシート」「預かり書」などは全て「金銭又は有価証券の受取書、領収書」に該当すると解説されています。
"「受取書」、「領収証」、「レシート」、「預り書」はもちろんのこと、受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」、「相済」とか「了」などと記入したものや、お買上票などでその作成の目的が金銭又は有価証券の受取事実を証明するものであるときは、金銭又は有価証券の受取書に該当します。"
引用:
No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書|国税庁
ちなみに、「領収書」と「領収証」にも、大きな違いはなく、ほぼ同じ意味で明確な違いはありません。国税庁の解説文では、「領収書」は総称として使用され、「領収証」は狭義の意味で使い分けられている傾向が見られます。
【領収書の書き方】記載項目に関する7つのポイント
一般的に、領収書を発行する手順は下記の通りです。
- 1)金銭を受領後に受取人が支払者に領収書を発行する
- 2)受取金額が5万円以上の場合は収入印紙を貼付する
- 3)領収書の控え(複写)を1部保管する
収入印紙の貼付については、金額が5万円未満の場合は非課税のため不要です。では正しい領収書の書き方について具体的に解説します。
① 日付は省略しないで記載する
日付は、支払者が代金を支払って受取人が受け取った日付を「年月日」で記入します。
このとき、日付の書き方は和暦・西暦どちらでも問題ありませんが、いずれも省略形は好ましくありません。必ず「令和元年」「2019年」など、年号や西暦のすべての桁を正確に記入しましょう。
ちなみに、元号の初めの年は「元年」と記載するのが一般的です。
② 宛名は正式名称を記載するのが安全策
宛名の書き方は、下記の2つのことに注意し、正式名称を記載するのが原則です。
- (株)などの省略形は不可。「株式会社」などと記入する
- 「株式会社」の表記が前株か後株かに注意
ちなみに、宛名に「上様」と記載されている領収書は、必ずしもNGというわけではありませんが、第三者が事実関係を判断しやすいという観点から、誤認のリスクを回避する安全対策として、正式名称を記入するのが最良の方法と言えます。
また、消費税法の仕入税額控除に係る帳簿の記載方法においては事業者の氏名記載が必要なため、無効になり得ることもあります。
宛名が空欄や「上様」と記載されている場合に有効とされるか否かは、領収書を何の処理に使うか目的によって異なるので注意が必要です。
③ 発行者の住所と名称を記載する
領収書には、発行者の住所と名称を記入するのが原則です。住所・社名の入った社判を利用しても有効とされます。また、発行者の印鑑の押印は必須ではありませんが、偽造防止や商習慣で角印で押印するのが一般的です。
④ 金額の正しい記載の仕方
金額の書き方は、下記の3つを記載するのが原則です。
- 金額の数字の部分には3桁ごとに「,(コンマ)」を入れる
- 金額の先頭に「¥(円マーク)」か「金」を記載
- 金額の末尾には「※(米印)」「−(ハイフン)」「也」のいずれかを記載
金額の前後に上記の記号などを入れるのは、改ざん防止を目的とした対策でもあります。
⑤ ただし書きの「お品代」はNG?
ただし書きによくある「お品代」の記載ですが、これは決してNGというわけではありません。しかし、正しい方法とも言えません。税法上、「課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」が記載内容とされますので、具体的に内容を書いた方が望ましいと言えます。
トラブル回避を目的とした、正しいただし書きの書き方は下記の通りです。
- 具体的な品目を明示し、「〇〇代として」と記載する
- 語尾に「として」をつけて、後で書き足せないようにするのがポイント
例)
- 飲食代として
- 書籍代として
- プリンターインク代として
- セミナー参加費用として
経費の中には、領収書の発行が困難な品目もあります。例えば、交通費も困難な場合がありますが、日付・概要・移動手段・交通料金が分かる明細書を作成しておけば、税務申告の証憑書類として有効とされます。
領収書の発行が難しい品目についての対処法としては、イベント参加のチケットや商品の値札など、客観的な物的証拠を保管したり、購入明細や納品書を添付したり、何かしらの証拠を残しましょう。
⑥ 収入印紙には消印を押す
受取金額が5万円以上の領収書には、金額に応じた収入印紙を貼付して消印を押す必要があります。なお、クレジットカード払いの場合は、収入印紙の貼付は不要です。ただし、その際「クレジットカード利用」や「クレジット取扱」と記載しないと、第17号の1文書(課税文書)に該当し、収入印紙の貼付が必要となります。
消印(けしいん)とは、収入印紙を貼ったときに、その印紙と下の文書にまたがって押す印のことです。収入印紙が使用済みであることを証明します。
必ずしも領収書の発行者名の欄に押印した印鑑と同じ印鑑を使う必要はなく、インク浸透印や日付印、屋号の入った角印を使用しても問題ありません。手書きの署名でも認められています。ただし、文字が消せる鉛筆やシャープペン、線などの印を付けただけでは無効とされるので注意してください。
⑦ インボイス制度が始まると領収書の書き方も変わる
2023年10月1日に導入されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)によって、領収書の記載項目や書き方にも変更があるので注意が必要です。
2023年の9月30日までは、区分記載請求書等保存方式に基づいて、領収書の金額欄には「税率ごとの合計対価額」の記載が求められています。
一方で、インボイス制度導入後は、下記の記載が求められます。
- 異なる税率ごとに合計した消費税額と適用税率
- 適格請求書発行事業者の登録番号
つまり、「税率ごとの合計対価額」ではなく、8%と10%の項目を分けて、税額ごとに消費税のみの合計額を記載する必要があるのです。
また、仕入税額控除を受けるには、原則として税務署長から登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)が交付する「適格請求書等」の保存が要件となっているので、登録番号の記載は必須です。
領収書を発行するときの4つの注意点
領収書を発行するときの注意点を、4点解説します。
① 金額5万円以上は収入印紙が必要だが例外もある
収入印紙の金額は、領収書の金額に応じて定められており、領収書の金額が5万円以上の場合は、収入印紙の貼付が必要です。
"金銭又は有価証券の受取書や領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に該当し、印紙税が課税されます。"
引用:
No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書|国税庁
収入印紙税額は、下記のように受取金額ごとに定められています。
記載された受取金額 | 印紙税額 |
---|---|
100万円以下のもの | 200円 |
100万円を超え 200万円以下のもの | 400円 |
200万円を超え 300万円以下のもの | 600円 |
300万円を超え 500万円以下のもの | 1,000円 |
500万円を超え一千万円以下のもの | 2,000円 |
1千万円を超え二千万円以下のもの | 4,000円 |
2千万円を超え三千万円以下 のもの | 6,000円 |
3千万円を超え五千万円以下のもの | 1万円 |
5,000万円を超え 1億円以下のもの | 2万円 |
1億円を超え 2億円以下のもの | 4万円 |
2億円を超え 3億円以下のもの | 6万円 |
3億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 15万円 |
10億円を超えるもの | 20万円 |
受取金額の記載のないもの | 200円 |
(引用: 売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書 | 印紙税額一覧表 17-1 )
例えば、下記のような場合は、本体価格が5万円未満なので収入印紙は不要です。
・本体価格49,800円、消費税額4,980円、総額54,780円
ただし、例外があります。「総額54,780円 消費税額10%を含む」などの記載で、消費税額が明示されていない場合は、課税文書として取り扱われるため、印紙税額200円の収入印紙が必要です。
つまり、5万円未満の金額は、消費税額が明示されているかいないかで、本体価格を基準とするのか、総額を基準とするのか異なるのです。ちなみに、収入印紙代を節約するには、領収書を分割して発行するか、本体価格が5万円未満の場合であれば、本体価格と消費税を分離して明記することで収入印紙が不要になります。
② クレジットカードの場合は収入印紙は不要
①で紹介した条件が適用されるのは、現金やデビットカードなどの場合で、クレジットカードの場合は収入印紙の貼付は不要です。これは、現金取引の領収書と違い、印紙税の課税対象である「金銭または有価証券の受取書」に該当しないからです。
一方で、QRコード決済やバーコード決済の場合は、決済方法によって異なります。決済方法には、以下の3種類になります。
-
1)前払い式
事前に現金やクレジットカードでチャージして利用する -
2)即時払い式
デビットカードと同様の仕組みで、利用と同時に銀行口座からの引き落とし -
3)後払い式
後でクレジットカードに利用料金が請求される
上記のうち、クレジットカード決済の可能性がある1)と3)は、収入印紙が不要です。ただし、いずれも領収書に「クレジットカードを利用した」ことが明記されている必要性があります。
"クレジット販売の場合には、信用取引により商品を引き渡すものであり、その際の領収書であっても金銭又は有価証券の受領事実がありませんから、表題が「領収書」となっていても、第17号の1文書には該当しません。したがって、この領収書には印紙を貼付する必要はありません。"
引用:
クレジット販売の場合の領収書|国税庁
その他にも、「国や地方公共団体などの非課税法人が発行する領収書」や「営業に関しない個人が作成する領収書」といった領収書には、収入印紙の貼付は不要とされています。
③ 手付金は預かり証を発行する
前金を受け取ったり、内金や敷金、手付金を受け取ったりした場合は、領収書の発行プロセスが異なります。まず、「預かり証」を発行し、全ての金額を受け渡した後に領収書を発行します。領収書と預かり証は、いずれも金銭や有価証券を受け渡した事実証明のために発行されます。
ただし、預かり証を発行するときの収入印紙税の取り扱いについては、下記のように定められています。
"この金銭又は有価証券の受領が、当事者の一方(受寄者)が相手方(寄託者)のために金銭又は有価証券を預かることにしている寄託契約により受領するものであるのか、それ以外の目的による受領なのかにより印紙税の取扱いは異なります。前者の場合には、第14号文書(金銭又は有価証券の寄託に関する契約書)となり、後者の場合には、第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)に該当することになります。"
(引用:
売掛金を集金した際に作成する預り証|国税庁
)
つまり、規定が定められている文書が異なり、寄託契約による預かり証は第14号文書の「金銭又は有価証券の寄託に関する契約書」で、領収書は第17号文書の「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」で取り扱われています。
④ 領収書の修正は「二重線」や「訂正印」はNG
発行した領収書に不備が発覚した場合は、マナーや社内ルールの観点から、二重線や訂正印、修正テープなどで修正することは不可とされています。よって、既に渡した領収書は受取人から返却してもらい、新たに発行し直す必要があります。
しかし、売上の架空計上につながる恐れがあるため、原則として領収書の再発行は不可とされています。こちらも、マナーや社内ルールの観点からとなります。
例外で再発行に応じなければならない場合の処理方法は、領収書発行元の解釈や紛失してしまった状況によっても対応は異なりますが、基本的には下記の通りです。
- (再)や(再発行)を記載する
- 手書きの複写式領収書には、不備のあった領収書の原本に大きく「×」を記す
- 再発行した領収書は、返却された領収書と一緒に保管する
(再)や(再発行)と記載する目的は、二重計上のミスが生じないための防止策です。
再発行した領収書は、返却した領収書とホチキスなどで留めて保管します。一対にして保管することで、領収書の番号に欠番があった場合に、再発行した事実がすぐに分かるためです。
また、領収書の再発行がどうしても困難な場合は、可能であれば支払証明書を発行しましょう。
領収書には保存義務がある!保管期間はいつまで?
領収書には、法人税法上で定められている保管義務があり、最長で10年間保存する必要があります。法人か個人事業主か、青色申告者か白色申告者によって保存期間は異なります。
個人事業主の場合
個人事業主における領収書の保管期間は、白色申告者は5年間、青色申告者は7年間となります。ただし、青色申告者でも前々年分所得が300万円以下なら5年間とされています。
法人の場合
一方で、法人における領収書は、原則、7年間の保存期間が義務付けられています。ただし、下記のとおり例外があります。
- 2008年4月1日以降に決算が終了した欠損金が生じた事業年度:9年間
- 2019年4月1日以降の決算開始で欠損金が生じた事業年度:10年間
これは、税制改正が行われ、欠損金(赤字)があった場合の繰越期間が9年間・10年間とされたことから、領収書の保存期間も同様に変更になりました。
ちなみに、この場合、欠損金を次年度以降に繰り越して控除を受ける「繰越欠損金」を適用します。繰越欠損金による控除を行うと、欠損金が発生した翌年度以降の決算で黒字が出た場合、過去の欠損金を黒字の事業年度に計上して利益を相殺し、課税所得を減らすことができます。
領収書を紛失したらどうなるか?
領収書は、経費申告のための証明書類なので、紛失して税務調査の際に提出できなければ、必要経費として認められないことがあります。保存義務に違反した場合、必要経費と認められず追徴課税される、青色申告事業者の承認が取り消されるなど、罰則を受けることもあるので注意が必要です。
領収書についてのFAQ
最後に、領収書について「よくある質問」を5つ解説します。
Q1:宛名が空欄だと領収書の効力はなし?
消費税法の仕入税額控除に係る帳簿の記載方法においては、宛名がない領収書は無効とされる場合もあります。
金額が少額でも、取引先との信頼性を高めトラブルを回避できるため、宛名は正式に記載した方がベターです。
Q2:領収書に押印は必要?
領収書は、押印されているのが一般的ですが、実は、印鑑での押印は法的に義務付けられていません。領収書に押印するのは、あくまでも商慣習によるものです。
そのため、印鑑がない領収書であったとしても、基本的には無効になりません。ただし、取引先の業務規程で押印が定められている場合は、その規則に従わなければなりません。
では、なぜ領収書に押印されているのか。実は、誤解されていることもあります。
例えば、押印には領収書発行者が記載法人である事実を証明する効力が発生すると解釈されていたりしますが、これは事実ではありません。偽造や改ざん防止を目的としていると解釈されていることもありますが、これも事実ではありません。なぜなら、角印は誰でも作成できるおそれがあることから、必ずしも信憑性が高いとは言えないからです。
法的な根拠とは別の観点で、取引先からの信頼を得るために押印するのが一般的です。
押印する際にどの印鑑を使用するかですが、一般的な領収書などの書類は、会社の認印の印鑑として角印を使用します。ただし、取引内容によっては丸印と角印の両方を押印することもあります。
Q3:クレジットカードの明細書は領収書の代用になる?
支払いが現金ではなくクレジットカード決済だった場合は、原則として領収書を発行する必要はありません。クレジットカード利用で発行されるクレジット売上票の「お客様控え」は、領収書代わりに使用できます。
領収書を発行しても問題はありませんが、クレジットカード支払いはその場で金銭の受け渡しが行われたわけではないため、「クレジットカード利用」や「クレジット取扱」と記載する必要があります。その際、総額5万円以上の領収書に、「クレジットカード利用」などと記載しない場合は、課税文書として扱われますので、注意してください。
また、税務申告の証憑書類としてクレジットカード会社から送られる利用明細書を使う場合、クレジット売上票と比較すると証憑書類としての効力はやや劣るとされています。これは、クレジットカードの利用明細書には、本体価格や内消費税額の記載がないだけでなく、信用取引であるため、売上や受領ではなく、「利用」や「請求」として取り扱われるからです。
一方で、利用明細でも税務申告の証憑書類として取扱いできる事実もあります。例えば、ETCカードなどのクレジット売上票が発行されない場合です。クレジットカードの利用明細書だけでは、領収書の代用書類になるとは言えません。そのため、ETCの利用証明書も発行し、税務署にセットで提出することで証憑性が高まるとされています。
ただし、提出方法については所轄の税務署に事前に確認してください。
Q4:他にも、経費申告で領収書の代用になる書類はある?
売上代金を受け渡した事実が分かる書類であれば、領収書の代用になります。例えば、請求書や納品書を税務申告の証憑書類として扱うことは可能です。
詳しくは、国税庁が公表している「金銭又は有価証券の受取書とは」に記載されています。
"「領収書」、「受取書」と記載された文書はもちろんのこと「仮領収書」や「レシート」と称されるものや、相済、了、領収等と記載された「お買上票」、「納品書」等も第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)に該当します(基通別表第一第17号文書の1及び2)。"
引用:
金銭又は有価証券の受取書とは|国税庁
前述で解説した通り、バス代や電車代などの領収書を発行するのが困難な交通費については、交通費内訳明細書などの書類を作成することで、税務申告の証憑書類として扱うことができます。
Q5:領収書発行後に返金が生じた場合の対処方法は?
例えば、10万円の商品を購入して、10万円の領収書を発行後に4万円の商品であることが発覚しました。返金が生じた場合の対処方法としては、下記の2つの方法があります。
いずれも最初の領収書を戻す必要はあります。
- <① 支払い側に6万円を返金してもらう(相殺)>
- 10万円の売上に対し4万円相殺したことを記載した領収書を発行する
- 最初の10万円の領収書と相殺分の4万円の領収書を一対にして保存する
- 6万円を返金してもらう
- <② 10万円を払い戻してもらった後で4万円を支払う>
- 10万円の古い領収書を戻してもらう
- 古い領収書を戻すことで10万円を返金してもらい、最初の10万円の取引をゼロに戻す
- 4万円の商品を購入したとして、正しい領収書を発行してもらう
継続的に取引している顧客であれば、①の相殺の方が一見簡単に見えますが、発行側に過失がないにもかかわらず、領収書を発行する手間が掛かるため、②の払い戻しの方法を取るのが一般的です。
領収書の電子化にはトラブル回避のメリットあり
領収書は、トラブルを回避するためや、取引先に信頼を与えるためにも、正しく書くことが大切です。宛名は正式名称、ただし書きはきちんと品目を記入するのが最適と言えるでしょう。
また、手書きだとミスが発生しやすいですが、その解決策として領収書の電子化もおすすめ。電子化することによって、効率的に発行でき、検索性が増すといったメリットがあります。
税務署で無効とされないためにも、正しい知識を身に付けて正確に領収書を発行するようにしましょう。
<この記事のポイント>
- 領収書には、金銭の受け渡しの事実を証明する以外に、二重請求や過払いを防止したり、社内の内部不正を防止するなどの役割あり
- 領収書の宛名の「上様」やただし書きの「お品代」は間違いではないが、税務調査で無効となることあり
- インボイス制度導入により、領収書の書き方にも変更があるが、電子化することで紛失などのトラブル回避や効率化につながる