請求書の電子化に向けて。書き方や便利なテンプレ、電子化するメリットを紹介
請求書は、商品やサービスの金額を知らせるための書類です。フリーランスの中には口頭で済ませるという人もいますが、もし「そんな請求は聞いていない」と言われてしまったら……。支払いトラブルを防ぐためにも、請求書は欠かせません。
この記事では、請求書の書き方や注意点、電子化するメリットを解説!表計算ソフトなどで使えるテンプレートの情報もあるので、すぐにでも請求書を作成できますよ。
請求書の目的・必要性
請求書は、商品・サービスの料金を支払ってもらうための書類です。請求金額や振込先といった必要事項を記載し、取引先に送ります。形式に法的な決まりはなく、印刷・手書き・データなど作り方はどんな方法でもかまいません。
請求書の発行は、取引の証明やトラブル防止の観点から意味をなします。しかし、請求書だけでは取引の証明にはなりませんので、架空請求や請求間違いがおこらないように、メールなどの証憑をあわせて残しておくことが望ましいです。
請求書の書き方・発行するときの注意点
大変そうに見える請求書の作り方も、重要なポイントは3つだけ。ただし、事前確認すべき点や送り方、郵送のルールを知っておく必要があります。
請求書に記載する項目
記載事項を大まかに分けると
- 「相手や自分の情報」
- 「発行日」
- 「請求金額と内訳」
- 「振込に必要な情報」
の4つとなります。
最初に相手と自分の情報として、
- 請求先の会社名、部署、担当者の氏名
- 発行者の個人名・会社名や、住所、電話番号
を記載します。そして取引の合計を「小計」とし、小計に対する消費税額、原稿料・講演料など取引の内容によっては源泉徴収の税額を記載してください。小計・消費税を足した金額から源泉徴収を引き、「合計」として請求金額を記載します。
振込に必要な情報として記載するのは、
- 振込先
- 支払期限
- 振込振り込み手数料の負担者について
です。
まずお金を振り込んでほしい金融機関名、支店名、口座の種類、口座番号、口座の名義を記載します。振込手数料は事前にどちらが負担するのかを決め、請求先が振込手数料を負担する場合は「振込手数料は貴社でご負担ください」などの文言を入れましょう。支払期限についても、請求先の支払日を確認しておくようにします。
発行日や入金額は事前確認を
発行日や支払期日は請求先のスケジュールに準ずることが多いため、事前に締め日や支払日について確認しておくようにしましょう。請求金額は「振込手数料をどちらが負担するか」「源泉徴収を行うかどうか」によって変わってきますので、こちらも請求先に事前確認する必要があります。
郵送するときの注意点
請求書だけを送ると悪印象を与えることがあるため、送付状を添付しましょう。さらに封筒の表面の左下に「請求書在中」と書いておくと、書類が請求書であるとわかりやすくなります。
重要なのが、請求書は「信書」に該当するということ。信書とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」のことで、郵便法に基づきメール便や宅配便で送ることはできません。請求書を郵送する際は、普通郵便や信書便を利用します。
請求書の書き方や郵送、封筒の書き方について詳しくは、以下の記事もご参照ください。
請求書の書き方は? 記載する項目や注意点を解説
請求書の封筒の書き方はこれで完璧! 折り方や入れ方の基礎知識や請求書の電子化についても解説
請求書のテンプレート・ひな型を活用しよう
表計算ソフトなどで無料のテンプレートを利用すれば、一から請求書を作らなくても済みます。使いやすくするためのアレンジや、ロゴの挿入ができるものもあります。
表計算ソフトや文書作成ソフトのテンプレート
請求書のテンプレートは表計算ソフト、文書作成ソフトなどのソフトに付属していますし、ダウンロードサイトから無料で入手することもできます。
英語のテンプレート
海外のクライアントと取引する場合、英文のテンプレートも、ダウンロードサイトなどから手に入れることができます
海外対応の請求書も、基本的な必要事項は国内用と同じです。
今後は電子請求書が主流に
請求書はデータなどの電子化されたものでもかまいません。政府も請求書のペーパーレス化を進めています。
請求書に印鑑は不要
紙の請求書には印鑑(ハンコ)を押すことが多いでしょう。「電子化したら印鑑は?」という方もいらっしゃると思いますが、法的には印鑑のない請求書も有効です。
請求先の規定によっては、電子請求書に電子印鑑の使用を求められるケースもあります。電電子印鑑は認め印のように使用されることが多く印影のスキャンや作成ソフトで作ることが可能です。
政府がペーパーレス化を推進
2022年1月、電子帳簿保存法の改正が施行されました。以前は請求書をデータ保存する場合、事前に税務署からの承認を得なければなりませんでした。以後は事前承認が不要となり、電磁的記録による保存等が可能となるなど、大幅に要件が緩和されました。
「データ保存は手続きが面倒だから、紙で送ってほしい」と言っていた請求先も、法改正以降は電子請求書を受け取ってくれるケースが増えてくるでしょう。さらに、政府は2023年度までに企業間請求書の完全電子化を目指しています。
電子請求書については、以下の記事もご参照ください。
電子請求書サービスを解説! メリット・デメリットとは?
請求書を電子化するメリット
電子請求書にはさまざまなメリットがあります。電子化で時間とコストを削減しましょう。
1.時間の短縮
紙の請求書を作成する場合、印刷・封入を行ってから郵便局や郵便ポストなどに出向かなければなりません。一方で電子請求書は、データを送ればそれだけで請求書のやりとりが完了します。
また、意外と発生するのが、一度送付してからの修正・追加です。こちらも請求先から連絡を受けたら、すぐ修正して再送するだけで済みます。発行側・受取側の双方で、請求書の処理にかかる時間の短縮が可能です。
また、システムが自動計算してくれるため、計算間違いなどのケアレスミスも防げます。
2.経費削減
書類の発送がなくなるため、用紙・封筒といった資材のコストがかかりません。もちろん、切手代なども不要です。複数の請求先があるケースでは、かなりの経費削減になるでしょう。
中には、請求書を郵送しなければならない取引先もあるかもしれません。その場合は、請求書の郵送代行サービスを使う選択肢もあります。価格もリーズナブルで、何より発送の手間がかからないのでおすすめです。
3.セキュリティー強化
普通郵便では、まれに紛失などの郵便事故が発生することも。追跡ができないため、紛失の発覚も遅れてしまいます。電子請求書もメール誤送信のリスクはありますが、クラウドサーバーでのやりとりにするとより安心です。
セキュリティー面で注意しておきたいのは、表計算ソフトなどのデータを送る場合、そのままではなくPDFや画像ファイルに変換してから送るということ。あとから変更できる状態だと、改ざんされる恐れがあります。
請求書の電子化を身近な選択肢に
請求書は金額を知らせるためだけでなく、トラブルを未然に防止するためにも必要です。そして、まだ請求書を電子化していない方や個人事業主の方には、請求書作成サービスやアプリがおすすめです。簡単操作で作成・発行がペーパーレスに完了します。政府も請求書のペーパーレス化に向けて動き出す中、導入がより身近なものになっています。
<この記事のポイント>
- トラブル防止に請求書は欠かせない
- 請求書の送り方や郵送には注意点あり
- 電子化が政府の後押しで拡大